沿線を越えて広がる「可能性」

時代をとらえたのは徹底したお客様志向。沿線の垣根を越え、これからも快進撃を続けていく。

「いかにお客様に喜んでいただくか」を徹底的に考えてきた京阪ザ・ストア。
決して近道やラクをすることなく、独自の視点で培ったノウハウは、京阪沿線だけでなく他の地域においても十分に通用する、高いポテンシャルを持っている。
斬新な発想で顧客のニーズをとらえたさまざまな業態に、今、多くの企業から熱い視線が注がれている。

他社が欲しがるオンリーワンのスキル

「駅ナカ事業の重要性は、どの鉄道会社でも注目されています。しかし運営のノウハウや難しさがあって、なかなか簡単にはいかない。二の足を踏んでいる会社は多いと思います」と達川は語る。
「その点、私たちが築き上げたノウハウはオリジナルの一点もの。どこかの二番煎じや借り物ではない、その価値は大きい」。
たとえば「SWEETS BOX」は、大阪市営地下鉄やJR東日本など、関西だけにとどまらず関東の他の沿線でも既に10店舗を展開している。また駅ナカのユニクロ小型店は、京阪ザ・ストアがパートナー企業として関西全域を担当する。MUJIcomに関しても、「無印良品」とライセンス・ストア契約を結び、駅ナカに適した独自の売り場提案力で好評を博している。
「駅ナカ小型店で売る」ための、圧倒的な技術を持った京阪ザ・ストアだからこそ実現する、新しい業態。そのスキルに多くの企業から熱い視線が注がれる。

「欲しいと思ったとき、そこに品揃えできるかどうかが勝負です。駅ナカというのは元々商売するためのスペースではないので、バックヤードがほとんどなかったり、あっても遠かったり…。品切れしてもすぐに補充できないんです。だから何が売れて何が売れないのか見極めることが大切。割り切るところは割り切って効率よくやります」と語るのはMUJIcomに勤務する原だ。
「特にテレビや情報サイトなどで紹介されたりすると、次の日の反響がすごい。品切れでお客様をがっかりさせることがないように、常にアンテナを張っています」。

「狭さの克服も、我々の強みのひとつ。一番小さい「SWEETS BOX」は5坪で運営しています。狭くても工夫すればできる。他社線で20坪を確保しようと思うと難しいですが、5坪ならできるという場合がけっこうあるんです」と達川も語る。
5坪という狭小スペースから十分な売上をあげるノウハウは、京阪ザ・ストアならでは。
「それから、どの会社にも鉄道部門と流通部門のせめぎあいのようなものがある。たとえば、鉄道部門は安全面に厳しいため、通行の妨げになるようなお店はNGが出たり。そこは我々も経験済みなので、2部門の折り合いをつけつつ双方にプラスになるようなアドバイスができます」。
そうした痒いところに手が届くノウハウは、イチから自分たちで発想し、立ち上げに奔走したからこそ得ることができた。
誰も持っていない自分たちだけの知恵とテクニック――そこに新たなビジネスチャンスが生まれている。

大手じゃないからこそできることがある

「大手スーパーだとどうしても、大量生産、大量消費、マニュアル重視になりますよね。でもフレストは対面販売重視。お客さんとのコミュニケーションを活発にしています」と語るのはフレスト天満橋店で精肉売り場を統括していた浜上だ。
「それは店舗数が大手ほど多くないからできること。お客様のニーズを聞いて、バイヤーに『こんな商品を入れて!』と要望して入れてもらったり、地域の特色に合わせた品揃えができたり。それは店舗数が少ないことの大きなメリットだと思います」。
大手スーパーならどこで買っても同じだが、フレストは担当者の采配次第で、よりお客様のニーズをつかんだ品揃えやサービスが提供できる。
欲しいものは何でもネットで買える時代になった。お客様の欲しいものを提案する力が、今後鍵となってくるのは間違いない。どこを切っても同じ金太郎あめのような店と、対話で潜在ニーズまで引き出し、きめ細かく対応できる提案力のある店。これからの時代に選ばれていくのは後者ではないだろうか。

「実は『SWEETS BOX』とコンビニを提携できないかなとか…勝手に思ってるだけですけど」と話すのはアンスリー店長の今井だ。
「大手コンビニチェーンには多くのサービスが揃っていて便利ですよね。でも我々は狭さという問題があるので、その部分で勝負しても勝てません。
逆に絶対に大手に負けないと思うのは、レジのスピード、売り場メンテナンスの力、行き届いた清掃。それはうちが集中して培ってきたので絶対的な自信があります」
一般的なコンビニエンスストアとは、求められているものが違ったということ。だから、磨きあげたスキルもそれに応じたものになった。
ならばこれからの展開として、大手チェーンの後ろを追いかけるより、自分たちにしかできない独自のサービスを突き詰めていく方に勝機がある。
「アンスリーはコンビニですけど、コンビニの看板を背負ってはいけないと思うんです。もっと独自の道を模索していくべきなんじゃないかと。
『SWEETS BOX』との提携とか、スーパーマーケット部門と協力して何かできないかとか、いろいろとアイデアはあります。大手にはできないことが、京阪ザ・ストアならできるはず。伸びしろがすごく大きいと思っています」と力強く語ってくれた。

「目の前のお客様を喜ばせよう」――そのシンプルだけれどゆるぎない一念が、京阪ザ・ストアの誇りである。そうして辿り着いたオンリーワンのサービスが、多くのお客様の心をつかんでいることもまた事実。沿線や関西といった地域的な制約などものともせず、これからも快進撃を続けていく。

  • お客様のこころをつかむ「現場力」
  • 刻み込まれた京阪グループの「DNA」
  • 沿線を越えて広がる「可能性」