刻み込まれた京阪グループのDNA

沿線を支える鉄道グループとしてのDNAが一つひとつのサービスに脈々と受け継がれている。

京阪グループの一員として、流通業を通じて何ができるだろうか。
たとえば、お客様の毎日に新鮮さと楽しさを提供していくこと。
たとえば、いつも変わらぬおいしさと便利さでお客様の生活を支えること…。
その答えを探し続けるなかで、武器になったのは鉄道を中心とする京阪グループ由来の企業スピリットだった。

効率よりもお客様満足を常に優先する姿勢。
手間や苦労をいとわず、誰もやっていないことにチャレンジするガッツ。
京阪ザ・ストアは今、流通業界では異端とも言える姿勢を貫いている。
鉄道を中心とする京阪グループから受け継いだ数々のDNAが、業界の常識にとらわれない独自のサービスとなって結実しはじめている。

これまでも、これからも沿線の生活を支え続ける覚悟

雨の日も風の日も、どんなときにも安全に電車を走行させること。それは鉄道会社としての基本であると同時に、常に背負い続ける課題でもある。
たとえば、京阪電車の車掌は常に指差し確認と言葉に出しての確認を実行している。慎重すぎるという意見が出るほど、徹底的な安全対策。そういった堅実さというDNAは、京阪ザ・ストアすべての部門に脈々と受け継がれている。

京阪電鉄が築き上げた「安全・信頼」というキーワード。京阪ザ・ストアでも社員全員が「食の安全」に関して高い意識とシビアな感覚で業務にあたっている。
もしも提供する品がおいしくなかったら、顧客の信頼を裏切るものだったら……。お客様にそっぽを向かれてしまったとしても、京阪ザ・ストアにもっと良い立地を探して移動するという選択肢はない。『京阪』という冠を戴くとはそういうことでもある。

京阪ザ・ストア専務の達川はこう語る。 「生鮮食品もすべて自分たちで仕入れていますから、自信をもって提供できる。常においしい産地を探したり、どの社員もみんな研究熱心なんですよ。お盆やお正月など、ここ一番というハレの日に選んでもらえるスーパーを目指しています」。
効率化を求め他社にアウトソーシングならよくあるが、京阪ザ・ストアにその発想はないようだ。

徹底的に沿線のお客様と向き合う。地域のお客様とともに喜びも悲しみも分かち合い、これから先もずっと寄り添っていく。そんな覚悟が、すべてのサービスを貫いている。

お客様の毎日を楽しくするのが使命

「たとえば、梅田や難波といった大きなターミナルであれば、商業施設に隣接していたり、乗降客数も多いのですが、京阪電鉄はそういったターミナルを持っていません。ですからお客様のほとんどが沿線にお住まいの方で、通勤や通学といった毎日の生活の中でご利用いただいています。だからこそ、毎日利用される方に喜んでいただくことが私たちの使命なんです」。

京阪電車に乗るお客様の多くは、観光やレジャー、買い物に行くわけではない。毎日繰り返される、わが家と職場・学校との往復。そんな日常に新鮮さやワクワクするような楽しみ、発見する喜びをご提供したい――熱い想いが根底にある。

週替わりで人気のスイーツ店がやってくる「SWEETS BOX」も、そんな想いから生まれた業態のひとつ。
人気のスイーツ店には誰もが興味津々だが、わざわざ遠方まで買いに行くのは大変。しかし、いつもの通勤通学コースに、人気店からやってきてくれたら?しかも、それが週替わりで展開されるとしたら、これほど楽しいことはない。
「他の鉄道会社でも同様のサービスを始めたところもありますが、毎週お店が替わるのはウチだけです」と開発に携わった達川は胸を張る。
「お客様からの評判も上々。先々までの出店予定を持って帰って、いつも楽しみにしているというお声も多くいただいています」。
手間やコストを考えれば、2週間ごとや1ヵ月ごとのほうが効率は良い。でも「せっかくなら週替わりのほうが楽しいじゃないですか。手間がかかるのであまり儲かりませんけど(笑)」。

地域に根ざし、沿線のお客様の毎日を便利に、快適に、楽しくしていく。お客様の足となり生活を支える、鉄道グループとしての誇りと使命感が彼らを動かしている。

オリジナリティーとチャレンジ精神は電鉄ゆずり

「鉄道グループの一員として、沿線の価値を上げていきたい。そのためにオリジナルのサービスをしたいという気持ちを強く持っています」と達川。
「たとえばアンスリー事業の立ち上げはチャレンジングな試みでした。大手のコンビニチェーンとは違って、マニュアルは一切なかった。その代わり『いかにして喜んでいただくか』をオリジナルで作り上げました。結果、我々らしさのある独自のサービスを育てることができた。それは私たちの強みです。
誰にでもできることをやっていたら、『京阪でなくてもいい』いうことになってしまう。自分たちだからできるオンリーワンを、ゼロから生み出すんだという気概でやってきました」
それが、「駅ナカ・ユニクロ」であったり「MUJIcom」といった新しい業務形態へのチャレンジにつながり、お客様に喜ばれるという結果を生み出した。

有名なTVカーや、ラッシュ時だけ5枚扉になる車両は、京阪電車独自のもの。通常は1車両に扉3枚が普通だが、5枚扉車両ではラッシュ時だけ座席部分が天井まで上がって扉が2つ追加される。
「奇をてらったアイデアのように思われるかもしれませんが、お客様に少しでも便利で快適に、というDNAが昔からあるんです。そして、それを実現してしまう技術力もすごい」と達川は語る。

誰かのマネや二番手、三番手では良しとしない。お客様の「あったらいいね」を見つけ出し、「あって良かった」をつくり出す。それも利用客の「快適、便利」を追求し続けてきた、電鉄から受け継いだDNAなのかもしれない。

*役職は取材時のものです。

  • お客様のこころをつかむ「現場力」
  • 刻み込まれた京阪グループの「DNA」
  • 沿線を越えて広がる「可能性」